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内耳 (inner ear)


内耳は頭蓋骨の中に埋没し、前庭窓と蝸牛窓で中耳腔と接しています。
内耳は連続したひとつの空洞ですが、前方から蝸牛、前庭および三半規管の三部分があり、この内蝸牛が聞こえに関与し、前庭および三半規管が平衡感覚に関与しています。
●蝸牛
鼓膜から耳小骨を伝わった振動は前庭窓から内耳に入ります。蝸牛はカタツムリに似ているためにその様に呼ばれていますが、 振動であった音を電気信号に変換して脳に送る聞こえにとって最も重要な器官の一つです。
蝸牛は直径約10ミリ、高さ約5ミリ、約2回転半の渦巻状の管で、三つの階に分かれています。
それぞれの階はリンパ液で満たされており、基底膜によって上部の前庭階と下部の鼓室階に分かれ、 前庭階にはライスネル膜があって蝸牛管が作られている。蝸牛管には基底膜の上にラセン器(コルチ器)が載っており、蓋膜がその上を覆っている。

<外有毛細胞>電子顕微鏡写真

◆有毛細胞(ゆうもうさいぼう)のはたらき◆
蝸牛の中にはリンパ液で満たされており、前庭窓に伝わった振動が蝸牛の中のリンパ液に波を作ります。
この波を内耳の基底膜の上にずらっと並んだ有毛細胞と言われる感覚細胞が感じ取ります。
有毛細胞には内側に一列の内有毛細胞と外側に三列の外有毛細胞があり、それぞれに働きが違います。
内有毛細胞はリンパ液の波を感じ取って電気信号に変換する役割で、外有毛細胞は入ってきた音に能動的に反応して 感度を高める働きがあります。
1000分の1秒単位で伸び縮みする外有毛細胞はその分傷み易く、切れたり死んだりしてしまいます。 外有毛細胞の数が減っていくことでわずかな音の違いが感知できなくなっていくのが加齢による難聴の特徴です。
内有毛細胞の数は3500個、外有毛細胞の数は1万2000個ほどあり、それぞれが特定の周波数に対応しています。 人工内耳はこの有毛細胞に直接電気刺激を与えるものです。