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中耳 (middle ear)

中耳とは鼓膜の内側にある空洞の総称で、鼓膜・耳小骨連鎖・前庭窓面・耳管などによって構成されています。 太鼓のように中空になっているため鼓膜が振動出来、振動が耳小骨を伝わって前庭窓に至るまでを中耳と呼んでいます。
●鼓膜

鼓膜は中耳と外耳を分けている境界面です。鼓膜は楕円形で少し凹状になった円錐体のようであり、 外耳道に対して斜めに張られており、約30度の角度を持っています。
半透明でうすいピンクがかった灰色や真珠のような白色をしており、透けて向こうが見えます。
大きさは高さが約9ミリ、幅は約8ミリ、厚さは0.1ミリ。厚さはティッシュペーパーくらいですが、三層構造になっておりかなり強く出来ています。
子供の鼓膜は薄くて弾力がありますが、大人になるにつれて厚く固くなります。
◆鼓膜の動きはとても繊細◆
鼓膜の音の振動による変位は非常に小さく、普通の日常会話のレベル(60デシベル程度)では、 水素原子の直径にほぼ等しいと言われています。少し分かりにくいですが、水素原子の直径はおよそ1センチの十兆分の一だそうです。
スピーカーの様に前後に激しく振動しているイメージとはずいぶん違っています。
もし鼓膜に穿孔があると最大で15デシベルの聴力低下が生じます。

●耳小骨(ツチ骨・キヌタ骨・アブミ骨
耳小骨は人間の身体の中で最も小さい骨です。
連鎖している耳小骨は鼓膜の振動をテコの原理で増幅し、ツチ骨が接している鼓膜面とアブミ骨が接している前庭窓の面積比で更に増幅され内耳に伝えられます。

◆耳管の働き◆
耳管は鼻の裏に開口部があり、鼓膜の外側の外気圧と中耳腔内の気圧を調整する働きがあります。
高い山に登ったり、飛行機に乗ったりしたときに外気圧と中耳腔内の気圧に差が生じて鼓膜が内や外に引っ張られた状態になると耳が詰まった感じになったりしますが 、あくびをしたり唾を飲み込んだりすると、耳管が開いて空気を出入りさせて気圧を調整します。