言語について
人間の喉には「声帯」という器官があり、声を出す時クラリネットのリードの様に震えて、私たちの声の基本の周波数を生成します。●男性の基本周波数(声の高さ)…120〜250Hz
●女性の基本周波数(声の高さ)…210〜325Hz
◆ホルマント◆
口腔が共鳴器の働きをし、舌や軟口蓋、唇などを動かして共鳴を操作することで、声帯が二番目の振動を起こし、 高調波となりある周波数を他よりも 強調した状態になります。この強調された高調波を「ホルマント」と言います。
母音には特有のホルマントがあり、男性や女性や子供など、音の高さが異なっても聞き分けることが出来るのは、このホルマントが 同じように構成されているからです。
◆母音と子音◆
標準の日本語の母音にはa/i/u/e/oの五つがあり、比較的開かれた声帯を通る有声音が使われ、 低い周波数エネルギーと音量があり、長い発声時間をとります。
子音は空気の流れを色々に妨げることで発声され、b,p,m.n.t.d.k.gはそれぞれ、舌の先、 舌の後ろで一時空気の流れを留めて急に吐き出すときに出る音で、閉鎖音または破裂音といいます。z,sなどは 空気の流れに狭い隙間を作ることで生じる摩擦音です。
母音と子音の適当なバランスがあってはじめて言語が明瞭に聞き取ることが出来ます。
<日本語会話の子音の出現頻度>
◆会話音の大きさ◆
<距離1メートルの所で>
●平均的な男性の声 65dB/SPL
●平均的な女性の声 63dB/SPL
●最も大きな声 85dB/SPL
●最も小さな声 45dB/SPL
●ささやき声 26dB/SPL
1メートルの距離での平均の会話音圧は65dB/SPLですが、会話の中では±12dB/SPL程度の変動があります。それにより、 通常会話の最大レベルは77dB/SPLとなります。
最もちいさなささやき声と最も強い声とのレベルの範囲は約60dB/SPL、ささやき声を除けば約40dB/SPLの範囲になります。
◆言語のパワーと了解度◆
言語音の周波数範囲はおよそ100Hzから10000Hzと言われており、母音と子音で構成されています。その中で母音は子音より大きな音で低い周波数を含んでいますが、パワーが大きいことと会話の理解度に対する貢献は関係なく、会話をよく理解するためには子音部分の聞き取りが重要になります。
周波数範囲(Hz) | エネルギー(%) | 貢献度(%) |
62〜125 | 5 | 1 |
125〜250 | 13 | 1 |
250〜500 | 42 | 3 |
500〜1000 | 35 | 35 |
1000〜2000 | 3 | 35 |
2000〜4000 | 1 | 13 |
4000〜8000 | 1 | 12 |
100 | 100 |
上の表は英語の会話におけるものです。母音の成分が多い500Hz以下の会話のエネルギーは全体の60%を占めていますが、会話の了解度に貢献する度合いはわずか5%にすぎません。
500Hzから2000Hzの範囲が全体の70%を占め、最も重要な周波数帯となります。
※日本語の場合はこの表の通りではなく、母音単独でも意味を持つこともある日本語の場合はもう少し500Hz以下の周波数帯の理解度に対する貢献は高いとされます。